ハンブルジョアがボリュームアップ!デルムンド

No.16

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某ライターさんの勘違いで
ハンバーグがマシマシに!?
大人気店「デルムンド」の今

「絶メシリスト」がはじまり2年が経過した。高崎にこれほど多くの魅力的な老舗の個人経営飲食店があることに驚かされるが、多方面で絶メシリスト自体が話題になるとともに、各店も活況を呈していると聞かされることも多く、調査隊としては嬉しい限り。そうした中で、各種メディアにも多数登場し、今や絶メシの“顔”とも言える存在となったのが、高橋康夫さんと恵美子さんご夫妻で40年以上営業を続けているパスタ店「デルムンド」だ。絶メシ後の今の状況を聞くため、調査隊は再度お店のドアを開いた。

(取材/絶メシ調査隊 ライター田中元)

絶メシ効果で引退撤回?
お客さんも売り上げも増量

ライター田中

「こんばんは、田中です。今回は絶メシリストの“初期メン”でもある人気パスタ店『デルムンド』さんへやってきました。テレビなどが高崎の絶メシを取材する際に、頻繁に登場されており、いまや絶メシの“顔”とも言えるお店であり、ブームを牽引してきたリーダー的存在でもあります。今回の取材では、絶メシブームの舞台裏を中心に聞いてみたいと思います」

かく語るライター田中率いる絶メシ調査隊が訪れたのは、夜営業が始まる直前の時間帯。もう仕込みだなんだと忙しいにもかかわらず、オーナーの高橋さんご夫妻は、我々を温かく迎え入れてくれた。毎度、すいません&お世話になっております!
恵美子さん
「マスターは厨房で作業しながらでもいいかしら? で、基本、アタシが答えますね。はい、さっさとはじめましょう!」

相変わらずチャキチャキした感じの“ママ”こと恵美子さん。そしてママの言葉で厨房に入り、作業を開始するマスター。オープン時間も間もないので、さっさとやっちゃいましょう!

ライター田中

「そもそも人気店だったデルムンドさんですが、絶メシリスト掲載後はどんな感じだったのでしょうか?」

恵美子さん
「そりゃ、もうすごかったですよ。常連さんが入れないくらいで。もともとうちは常連さんが多かったんですよ。それこそ創業当時から40年来てくれている方もいらっしゃいますしね。そんなわけで以前からぼちぼちお客さんは入ってたんですけど…まあ絶メシさんの取材の効果はすごい。半端ないです。北海道から九州まで、全国いろんなところからお客さんが来てくれるようになりましたからね」
ライター田中

「ありがとうございます! でも一番効果が大きかったのはテレビじゃないですか? いろいろな番組に出られてますよね」

恵美子さん
「そうですね。絶メシさんに紹介されてから、マツコ・デラックスさんの番組、ホンジャマカ石塚さんの番組、最近だと『ぴったんこカンカン』にも出ました」
ライター田中

「すげぇ」

恵美子さん

「でもきっかけは全部絶メシさんです。私たち、夫婦二人でやってますでしょ。忙しいから取材を受けるなんて無理だと思ってたんだけど…」

ライター田中

「お願いして出ていただいたら、こんなことになったと」

恵美子さん

「まぁ、そうですね。絶メシさんは『インターネットに出すだけだから大丈夫ですよ』なんて説得されたかな。私たちインターネットのことなんてわからないから、『あぁ、じゃあ良いか』って気軽な気持ちで思って受けたら…想像できないくらい反響があったんですよね」

ライター田中

「まるで詐欺師の手口ですね、絶メシさんは」

恵美子さん

「前回の絶メシさんのインタビューでも話しましたけど、こんなことになる前までは、そろそろ退職してこの場所を貸して、家賃で悠々自適に暮らそうか、旅行でもしようか、なんて思ってたんです。高崎駅前に新しいビルもたくさんできたし、食べるところもいっぱいできたしね。でもお客さんが押し寄せるようになって、売り上げも上がるし、やめるにやめられなくなっちゃった(笑)。まぁ、二人だけでやってるし、お店も狭いから頑張っても1.5倍程度の売上増しかなってないですけど」

ライター田中

「それ、充分すごいじゃないですか!」

恵美子さん

「ただ、忙しすぎていろいろ問題もあるんですけどね」

多忙により営業時間短縮
夜8時までになりました

忙しさゆえの問題とは何か。とっても真面目な話、絶メシリストに掲載したことで、ご夫妻に(これ以上の)苦痛を与えていなければ良いのだが。
恵美子さん

「お昼の営業は午前11時半から午後2時なんですけど、朝から行列ができちゃうんです。そこで開店して早々に『申し訳ないけど、ここまでの方しか入れません』って区切らなきゃいけなくなるんですよ。なので12時に並んでも、もう入れない方が出て来ちゃうの。特にテレビに出た時は、その都度、放映後はしばらくそんな状態が続きます」

ライター田中

「えーっ、それはすごい…」

恵美子さん

「驚くでしょ?」

ガタッ!
康夫さん
「そんなに続かないよ。そのうちどうにかなるんじゃないの?」
恵美子さん

「でも、食べられずに帰るのが4回も5回も続いている方もいるから申し訳なくってね」

ライター田中

「もしかしたら今回の記事によってまた忙しくなったら……」

恵美子さん

「その分、閉店時間を早めてますけどね。前は夜9時半までだったんですけど、今は夜8時までになってます」

康夫さん
「時間短縮して仕込みやらないと間に合わないんですよ。それに体も限界です。ほら、見てくださいよ」
そう語るなり、作業服を脱ぎ、湿布だらけの傷んだ体を見せるマスターの康夫さん。
ライター田中

「これは…」

恵美子さん

「でもね、お客さんが喜んでくれるからいいんですよ。絶メシさんで取り上げてもらわなければ70歳でやめようと思ってたんだけど、お客様が『絶対続けて!』って言ってくれるようになって。むしろありがたいです。ただ、欲張ってたら体がもたないからね、そこだけは注意しようと思ってます。あ! あと別の問題もあった!

ライター田中

「別の問題?」

恵美子さん

「前に取材してもらったときって、ハンブルジョアのハンバーグってSサイズ、並盛り、大盛りどれも200グラムだったんですよ。でもあの後、あるライターさんが本の中で大盛りは300グラムって書いちゃって、そっちが広まっちゃったんですよ。でも私たち、インターネットとか出来ないから、それ間違ってますよって、言うに言えなくて

ライター田中

「えー! なんでそんな間違いが…今回の取材記事で我々が訂正しておきますよ!」

康夫さん
「いや、それは結構!」
ライター田中

「えっ」

康夫さん
「もう300で定着しちゃったし、それを200に戻すだなんてできませんし、やりたくないですね」
恵美子さん

「300だと思ってお店に来たのに、200だったらがっかりしちゃうでしょ? 私たち、がっかりじゃなくてびっくりさせたいの。値段は消費税分だけアップしたけど本体は据え置きで、今は税込でSサイズ880円、並盛り990円、大盛り1155円

ライター田中

「エグい…。普通の店なら当然のように増えた本体分も値段を上げるのでしょうけど、それをあえてしないのがデルムンドさんらしいのかもしれませんね」

誤情報を取り入れ増量した
看板メニュー「ハンブルジョア」大盛り

前回の取材の後、ハンバーグのサイズが1.5倍になっていたデルムンド。ちょっともうわけがわからない。どれぐらい違うのかもわからない。ので、わがままを承知で、以前のサイズと現在のサイズ、両方を注文してみることにした。

恒例!
巨大ハンバーグに濃厚ミートソースを垂れ流す、の儀。

見よ、この罪深い盛り!

ライター田中
「でけぇ…(驚愕)。200でもすごかったけど、300は…。お言葉ですが、いくら何でもおふざけがすぎるのではないでしょうか」
康夫さん
「フフフ。まぁ、期待外れなのは出したくないからね。期待以上のものが出てきて『感動した!』ってよく言われますよ」
恵美子さん

「お客さんからも出した途端に、『すごい!』『食べきれない!』って驚かれるんですよ」

でしょうねぇ。
それでは心して…いただきます!
恵美子さん

「うちのミートソースは肉の旨味と玉ねぎの甘みだけで、お砂糖とか入ってませんからね。量は多いけど、食べ切っちゃう方がほとんどです」

ライター田中
「たしかに仰るとおりですね。野菜由来の自然な甘みとお肉のコクが渾然一体となったこのソースと肉の塊という表現がピッタリのジューシーなハンバーグ、そしてそれらを受け止めて余りある大量のスパゲティ…。味、食いごたえ、なにも文句が言えない究極の一皿ですよ」
なんとか完食。
ライター田中
「うまい! そして食った! 以前の200グラム時代でさえ、完食後はK点越えの大ジャンプをした気分でしたが、300グラムのハンブルジョア完食は俺的バッケンレコードですね。食の最長不倒距離に到達した感じです。いやぁ、満足の向こう側まで届いたなぁ(白目)」

甥っ子が名乗りを上げて
後継者問題無事解決!

ライター田中
「そういえば、テレビの情報番組で後継者が現れただのなんだのって話を見ました。あの話ってどうなったんでしょうか?」
恵美子さん

「あ、そうなんですよ! 実は甥っ子が手を挙げてくれましてね。もともと彼は小さい頃からうちのボンゴレが一番美味しいって言ってくれていたので、店を畳むことになったらボンゴレの作り方だけは教えてあげるとは以前から言っていたんですよ。だけど彼からはお店を継ぎたいなんて話はなかったの。それで私たちがテレビに出た時に後継ぎがいなくて困ってるなんて話したところ、『俺がやりたくてしょうがないのに!』って連絡が来ましてね」

ライター田中

「なんで言ってくれなかったの、のテンションですね。では、そういう準備もそろそろ?」

恵美子さん

「それはまだですね。彼は東京で会社経営をしてるので、まずはそちらを誰かに譲るか畳むかして、段取りができたら改めて、ということになっています。ただ、今は私たち二人でやっている店ですけど、甥っ子が同じような業務形態で続けるかはわかりません。彼も経営者だから自分なりのやり方があるだろうしね」

康夫さん

「調理は一から全部教えますけどね」

ライター田中

「ならいろいろ安心だ」

恵美子さん

「と言っても、甥っ子が来たら私たちがやめるってわけでもないですよ。お客さんが私たちの料理を食べて嬉しそうな顔をしてくれると、元気がもらえるんです。待った甲斐があったって言われたり。それじゃあまだまだ私たち、やめられないよってね」

康夫さん

「そうだね。やれるところまでやるって姿勢は、これからも変わらないだろうね」

後継者もみつかり今後の心配は不要となったデルムンド。高橋さんご夫妻もまだまだやる気充分で、あの味はもちろん、あの環境でスパゲティに食らいつく日々もしばらく安泰の模様。とはいうものの、混雑しすぎて入れないこともしばしば。本気で食べたいならオープン前から並び、それでもダメな場合もあることを覚悟して訪れよう。あと、ハンブルジョアはちょっとほんとにやばいレベルで量が多いので、自信がなければ注文時に減らしてもらえるか相談したほうがいいぞ!

取材/田中 元
撮影/今井裕治

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