高崎イタリアンの始祖?グリルねんりん

No.49
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創業者は高崎イタリアンの始祖?
“なんでもウマい洋食屋”の
ハンバーグ&生姜焼きが最高

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昭和40年にオープンした「グリルねんりん」は、洋食に加え、麺類や丼ものなどバラエティ豊かな洋食屋として幅広い年代に愛されている。ちなみに創業者である初代の池田数男さんは、高崎洋食の礎を築いたイタリアンレストラン「かもしか」の立ち上げメンバー。このエピソードを聞くだけでも俄然、期待が高まる。今回は当時の高崎の洋食事情について話を伺いながら、自慢の料理にかぶりつきたい!

(取材/絶メシ調査隊 ライター名/高柳淳)

“元祖高崎パスタ”が
まったくウケずに断念した過去

ハンバーーーーーーーグ!!(←ビブラスラップをひと叩きして絶叫)。ハンバーグ師匠よりもハンバーグが好きなライター高柳です。今日はどびっきり美味しいハンバーグが食べられると聞き、腹をすかせてやってきました!」

やや古めのネタで登場したライター高柳が訪れたのは、高崎の人気洋食店「グリルねんりん」。洋食からラーメンまでこだわりのメニューが満載のお店だ。

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木をイメージしたという「グリルねんりん」の外観

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座席数は全部で39席。座敷席はケヤキの原木をテーブルとして使用している

高崎洋食をこよなく愛する高柳&絶メシ調査隊一行を迎え入れてくれたのは、創業者の池田数男さんの長男で、現在は2代目を務める年数さんと妻の尚子さん。溢れ出る笑顔が人柄の良さを感じさせてくれる。

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チャキチャキな語り口の尚子さん(写真左)とちょっと控え目な年数さん(同右)。現在、お店はこのふたりで切り盛りしているそう

写真ライター高柳

「今日はよろしくお願いします。さっそくですが、まずはお店のルーツについて教えてもらえますか?」

写真年数さん

「はい、この店は私の父である池田数男によって昭和40年に創業されました。父は15歳から丁稚奉公に出て、最初は肉屋で修行し、その後に(当時)高崎唯一の洋食店だった『喜笑軒』で修行をしました。そして修行時代に真木昭さん(故人)という方に声をかけられ、『かもしか』というレストランの立ち上げに参加。真木さんはオーナー、父は初代チーフシェフという立場で『かもしか』をやることになります」

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お店のルーツについて語る年数さん

写真ライター高柳

「『かもしか』といえば、高崎初のイタリアンレストランとも言われている伝説のお店ですね。お父様はそこの初代チーフシェフだったとは驚きです」

写真尚子さん

「父と母は『かもしか』初期メンバー同士でもありました。母は母で、新潟県の岩原スキー場のホテルでマネージャーをしていた際に、真木さんからお誘いを受けたそうで……。父と母はそこから交際を経て、結婚するときに独立したと聞いております。まぁ、きっと独立するときは一悶着あったんだと思ってますけどね(苦笑)」

写真ライター高柳

「いいお話なのか、触れてはいけないことなのか、判断の難しいところです(笑)。当時の『かもしか』ではどんな料理を出していたんですか?」

写真年数さん

「ミートソースやナポリタン、ミートボールスパゲッティやベシャメルソースのボンゴレなど、スパゲッティを主力にやっていたようですね。ただ当時はスパゲッティなんて高崎にはなかったから、父はお店で出す前に東京・新橋のお店まで修行に行って習ったそうです」

写真ライター高柳

「高崎パスタの源流をたどれば、『かもしか』なり、そこで働いていたお父様たちの地道な努力があったということですね」

写真年数さん

「そうですね。もっともメイン料理に添える副菜のような“ちょっとしたスパゲティ”はあったようですが、主菜として食べるようになったのは、高崎では『かもしか』ができてから。ちなみに当時はスパゲッティという言葉がなくて『西洋うどん』って言っていたそうです」

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仲の良いおふたりは、会話の息もピッタリ

写真ライター高柳

「それで『かもしか』から独立して、こちらのお店をオープンさせたときにも、これまでやってきた洋食を食べさせていたんですか?」

写真年数さん

「はじめは洋食をメインに出していたんですけれど、当時この辺は田舎だったものですから全くウケなくて。それでスパゲッティなんかの洋食はスパッとやめて、ラーメンやソースカツ丼をメインにしたお店に変えてしまったんですね」

写真ライター高柳

「また思い切った方針転換ですね」

写真尚子さん

「カウンターにラーメンの丼を重ねて、お客さんに見えるようにしたら、少しずつお客さんが入ってくるようになったそうです。それで少し先が見えるようになってきたと。以来、うちではスパゲティは一度も出していません」

写真ライター高柳

「高崎パスタの源流、そのご子息なのに(苦笑)。今更ですが、高崎パスタのブームに乗ろうとは思わなかったんですか?」

写真年数さん

「思わなかったですね。すでにメニューが多いから、これでパスタをはじめたら、パンクしちゃいます(苦笑)」

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こちらは現在の「グリルねんりん」のメニュー。そのメニュー数はざっと30種類ほど。なお常連さんにはミニかつ重と半ラーメンのセットが人気だそうだ

「ハンバーーーーーグ!」
そう絶叫したくなるやつがキタ

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さてさて、いよいよ実食の時間である。こちらのお店、何を食べてもウマいと評判なのだが、ライター高柳がロックオンしているのは大人気のハンバーグだ。

もう待てない。年数さん、調理をお願いしやす!

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きっちりマンマークで年数さんの焼きっぷりを観察する高柳

ジュー♪

ジュー♪

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いい音である

裏返してみると……

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出た! 焼き目は強くカラっとしているのが特徴のよう

もちろんデミグラスソースも手作り。こちらをハンバーグにかけて煮込んでいる

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先代の頃から付け足し付け足し風味を重ねているという。「先代から受け継いだ最大の財産はデミグラスソース」(年数さん)。これはナイス財産

そうして完成したのが、こちらの一皿!

ハンバーーーーーーーグ!(本日2回目の雄叫び)

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ハンバーグ(720円)。和辛子を添えていただくのが「ねんりん流」

この肉感、この照り! 自慢のデミグラスソースもたっぷり…もう見るからに食欲をそそるではないか。

それでは入刀の儀。

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ハンバーグにナイフの入れるときの心の高ぶりは異常

ジュンジュワ〜〜

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旨みたっぷりだと思われる肉ジュースが!

溢れる肉汁は、丁寧な仕事をした料理人が流した汗そのものである(なんかいい事言った風に)。

それでは、
心していただきます!

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ばっちこーーーい!

!!!!

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はうあ!!!!

写真ライター高柳

うまーーー!粗挽きのため肉らしい歯ごたえと噛むほどに旨みが広がる!そしてジューシーでありながらさっぱりとしたお肉と、デミグラスソースの濃厚な味わいが絶妙にマッチしてますね。もう最高としか言えません」

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マジうまのため、コメントを言った直後からスタッフを無視して熱心に食べる高柳。もう普通に食事に来ているおっさんである

ハンバーグに夢中になっている高柳をよそに、厨房では年数さんが次のお料理の準備をしているようだ。

さて、なにを作ってるのやら?

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脂身ののったロース肉のかたまりを切るところから

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薄く切ったロース肉をフライパンで強火でサッと炒めて…

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ソースを混ぜてさらに炒める

なお、投入したソースがこちら。

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ショウガや玉ねぎ、にんじんやにんにくといった野菜からつくったという自家製ソース

そして出来上がったのがこちらの一皿。

生姜焼き(720円)

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とっても肉厚な生姜焼き。キャベツとともにポテトサラダが付いているのがうれしい

写真ライター高柳

「え、生姜焼きも作っていただけたんですか! ええ、なんか悪いですよ〜。そんな僕だけ食べて〜。仕事とはいえ、なんか申し訳ないですよ〜(←生姜焼きの皿を自分の目の前に引き寄せつつ)」

これ、絶対にウマいやつじゃん!

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食べなくてもわかるけど、もちろん食べるよね

よし! 
肉でご飯を巻いてみよう!

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キタキタキタキタ

あーーーん!

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絶メシ調査隊員でよかったーーーー!

写真ライター高柳

「これもむちゃくちゃうまいわー! 肉から旨みエキスがあふれ出てくる! ご飯との相性も抜群ですね! ハンバーグ以外にもこんな美味しいものが食べられるなんて、ここは天国ですか」

最高の美味しいお料理。これだけ美味しいのに、一番人気はかつ重だというから驚きである。胃袋の数がもう少し多ければ、もっともっとたくさんのメニューを試してみたいところだが、それはまた次の機会に……。

それでは最後に、こちらのお店の今後について聞いてみよう。

写真年数さん

「まだまだ自分がやれるから後継者については考えてません。22歳の娘がいますが、別の仕事をやっておりますし、継がせようとも思っていませんよ。労働時間も長いし、大変ってこと、誰よりもわかってますからね。とにかく、自分たちでできるだけやろうと思っています。毎日、丁寧に仕事をしていくことだけ考えながら」

「父は仕込み8割、商売2割とよく言っていました。手間暇をかけて作るから美味しいんだと」。そう語る池田さん夫妻。このポリシーを大切にしながら、2代目として変わらぬ味、譲れない味をこれからも守り続けてくれるのであろう。

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取材・文/高柳淳
撮影/今井裕治

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